ベーチェット病の主症状
【監修】北海道大学 名誉教授 大野 重昭

眼症状

ベーチェット病の主症状の1つである眼症状は、発作のように突然起こります。自然に回復しますが、再発を繰り返すのが特徴です。症状は、眼の痛み、充血、視力や視野の異常などさまざまですが、これらは眼の「ぶどう膜」とよばれる部分に起こる炎症が原因です。
発作を繰り返すと、ぶどう膜とその周りの組織が傷つき、視力が徐々に低下して、失明にいたることもあります。
また、合併症として緑内障や白内障などが起きることもあり、これらも視力低下の原因となります。

網膜ぶどう膜炎とその合併症の図

治療

ベーチェット病によるぶどう膜炎は、発作を繰り返すと、ぶどう膜とその周りの組織が傷つき、視力が徐々に低下して、失明にいたることもあります。そのため、眼発作を起こさないようにコントロールし、可能な限り視力を低下させずに維持することが治療の大きな目的となります。

治療は、発作が起きた時に炎症を鎮める発作期治療と、発作が起こるのを事前に予防し症状をコントロールした状態を維持する寛解期治療に大きく分けられます。

発作期治療では、虹彩(こうさい)や毛様体(もうようたい)など前眼部に発作が起こっている場合は、ステロイドや散瞳薬の点眼薬を用います。一方、網膜(もうまく)や脈絡膜(みゃくらくまく)などの後眼部まで炎症が広がる発作が起こっている場合はステロイドのテノン嚢下注射が使われます。

また、寛解期治療では、発作を予防する治療薬として、好中球遊走抑制薬、免疫抑制薬、抗TNFα製剤などが用いられます。